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NO.1
約8時間半
〜女に生まれて良かった…の巻〜
1月29日(火)女子大にある行き付けのパブへ飲みに行きました。

10時半頃に店に着いた私は店の前にある薄汚れた鏡で身なりを整えたのちドアを開けました。
先客は60代くらいで背広姿の男性がボックスに1人。知った顔でした。
某企業の社長様です。
社長は既にアルコールが多量に注入されているらしくかなり御機嫌の御様子。
触らぬ神に祟りなし とカウンターに腰掛ける私に向かい社長が一言

「まぁお嬢さんそんなところに座ってないでこちらへどうぞ」

え?私ですか?マジっスか?(汗)てゆーか嫌だ!!
しかしこの日 店員はマスター1人しかおらず、気遣いのある私は社長と同席する事にしました。
営業スマイルを浮かべながら席移動をする時に またも社長が一言

「大丈夫だよノータッチだからっ!」

・・・・あたりまえじゃボケ!!
だから背広のオヤジって嫌いなんだこの野郎。
大体まがりなりにも結構デカイ会社の社長なんだからもっと高級な店にでも行きやがれ!
てゆーかいつも超高級クラブに飲みに行く癖に何で今日に限ってココなんだ!!
何て言葉が頭をよぎった事は微塵も見せずマスターの顔を立てる為にもオヤジの相手を続ける私。
マスターを挟んでの会話だとしても我ながら涙ものです。

この時既に私の脳裏には嫌な予感が立ち込めていました。
予感というのは悪いものほど当たるもので、この時も見事に的中してしまいました。

カランカラ〜ン

店のドアが開く音。
ええ、そうです。1名様のお客が来てしまったのです・・・。
この状況ではどう考えてもマスターは今いらした客の相手をする筈です。
とゆー事は私はこのオヤジと2人になるって訳ですね・・・(泣)
しかしこのお客は運の良い事に顔見知りのお姉さんでした。
さらにオヤジがここで素晴らしい意見を発言

「お嬢さんもここで一緒に飲みましょう!」

おおっ!頼むからそうしてくれお姉さん!!
とゆー切な視線を送ったにも関わらずお姉さんは

「いや、私はこっちのカウンターで飲みたいから遠慮します(キッパリ)」

・・・私の願いは一瞬で打ち砕かれました。

だが私とて元水のはしくれ。
こうなったら昔とった杵柄とばかりにオヤジの接待をする事を決意。
株の話から始まり 最近1000万の損をしたと聞けば別の話に切り替え カラオケ好きと知るや否や歌う事を勧め 歌えば誉めたたえリクエストされれば知らない歌でも喜んで歌い・・・
非常に苦痛でした。
何故楽しみに来たというのに神は我に苦しみを与えるのか(泣)
しかもオヤジは一曲歌うごとに私との席の距離を縮めてきます。非常に危険です。
終いにはデュエットで「北空港」まで歌いました・・・(いや、これは得意だから別に い、いいんだけどね・・)

こんなに働いて飲み代を払わなくてはいけないなんて分が悪すぎる・・
やっぱり来るんじゃなかった(泣)
と心で泣いているとオヤジはそろそろ帰るとの事。
しかしすっかり御機嫌のオヤジが放ったセリフは何と

「マスターお勘定!この子の分も一緒にねっ!!ついでにお釣りもこの子にあげといてっ」

・・・・な、なんて良い人なんだっ!!(感涙)
いつもならお断りするのですが この時は遠慮する事無く素直に御好意に甘える事にしました。
あぁ だから背広のおぢ樣って大好きです。
えぇ喜んで外までお送り致しますとも社長様。
あ、タクシーですか?わたくしがお停めしますよ、もちろん見えなくなるまでお見送りも致しますとも!

今までの苦痛なんてすっかり忘れてしまいました。
(本当はこんな事ならもっと飲んでおけば良かったと思ったのは内緒)

満面の笑みで店に戻る私。
しかしその次の展開まで読めなかったのは私の失態でした。

1人で来てマシンガントークを放つお姉さんに付き合わされているマスターは 私の事を気にしつつもその場を離れられない様子。
カウンターに戻るタイミングをすっかり逃してしまった私は仕方なく広いボックスで独りで飲む事に・・・。

・・・・・淋しい・・・・(泣)

カウンターでは平気ですがボックスで独りというのは何と淋しい事か・・・。
どうしても間が絶えきれないのと先程までの本意でない選曲によるカラオケの鬱憤もあり 意を決して独りカラオケ大会を始める事にしました。

激しい系明るい系のテンポの早い曲をチョイスし数曲を熱唱。
しかし余計に虚しさが増すばかりでした・・・。



 さて、先が長くなりそうなので今回はこの辺にて。
続きまして「 約8時間半 〜人って何故豹変するのだろう?の巻〜 」をUP予定

乞うご期待?